ニコルさんと、下澤さん(2)今の日本に必要なのは、フードマイルの考え方。

食と環境をテーマとした話題へと発展。

テーブルに並んだ旬のごちそうメニューを味わいながら、ニコルさんと下澤さんのお話は「食」と「環境」をテーマにした話題へと発展していきます。おふたりの視点に共通するのは、身近な食文化を通して、これからの「環境」を考えるという姿勢でした。

下 澤:
「実は今、お米のつくり方が少しずつ変化しているのです。誰もが知っている有名ブランド米がありますが、温暖化や異常気象の影響で土壌と稲の特性が合わなくなっています。たとえば、冬にしっかりと雪が降らないと、田んぼの水温が上がり、その影響で土壌も変わる。お米の収穫量は確保できるのですが、おいしいお米づくりへの影響が心配されます。また、今は温暖化の影響もあってお米のおいしい地域が少し北上しているともいわれています。」
ニコル:
「お米の話といえば、今の子どもたちは田んぼを知らないものだから、僕の友人が家の近くに田んぼをつくろうとしたのですが、さまざまな事情で実現できませんでした。
どうしてなの?とすごく疑問を抱きました。日本は、CO2削減に関しては積極的にPRしているのですが、フードマイル※1 (フードマイレージ)に関しては世界的にすごく出遅れています。CO2問題とフードマイルを合わせて考えると、日本はフランスの10倍にも及ぶ環境負荷をかけていると、いわれています。大豆や小麦など、日本は食材の大半を輸入に頼っているから、もう少し地産地消※2 の考え方を積極的に推進するべきだと思います。」
下 澤:
「おっしゃる通りですね。日本の食文化で地産地消※2 といえば、やはり米づくりが原点だと思いますが、最近では田んぼが少なくなったものだから、酒造メーカーが無農薬の水田づくりに取り組んでいる事例などもあります。「酒造りは米造り」という考え方のようですが、どのような観点であれ、減少傾向にある田んぼが増えていくことは好ましいことだと思います。私も現在、地元(鳥取)のお米の良さを理解してもらうために、いろんな活動に取り組んでいます。」

※1 フードマイル=なるべく近くでとれた食料を食べることで、輸送に伴うエネルギーや環境への負荷を軽減しようとする運動。地産地消を推進する取り組み。
※2 地産地消=地域生産地域消費(ちいきせいさん・ちいきしょうひ)の略語で、地域で生産された農産物や水産物をその地域で消費すること。

おふたりの会話は、田んぼという日本の米づくりの原点をみつめながらも、そのむこうに見え隠れする地球温暖化やフードマイルの問題などを、しっかりと見据えているようでした。環境との共生という大きな課題も、そんなひとつひとつの小さな視点の中に、たいせつな答えが隠されているのかもしれません。

「食」の安全性は、小さなコミュニティから。

ニコル:
「最近、日本の沿岸に生息するイルカや小さなハクジラから、高濃度のダイオキシンやPCBが検出されたと報告されています。ゴンドウクジラの追い込みをしているファラオ諸島の小さな国でも、ずっと前からPCBなどの数値が報告されています。そんな小さな国でも調査しているのですから、もっと日本でも積極的に調査報告してほしいと思います。」
下 澤:
「そういう環境調査に関しては、今後ますます重要度が増していくでしょうね。今、生活者の関心が非常に高いものに、食の品質管理というのがあります。やはり、本当に安心して食べられるものが求められているのだと思います。「食」の安全性も、これからの大きな課題ではないでしょうか。」
ニコル:
「理想を言えば、小さなコミュニティをつくって、お互いに何がおいしいか、何が安全かを情報交換することが一番良いのではないでしょうか。たとえば、僕の家はハーブをものすごく使います。ハーブは香りだけではなく、漢方薬としての薬草の効果もあるし、健康にもすごくいい。消化を促し、カラダの毒素を洗い流してくれる。だから、肉料理には欠かせないのです。知人がハーブガーデンを運営しているため、ハーブに関してはいろんなアドバイスをもらいますね。」
下 澤:
「私はずっと鳥取で生活しているのですが、本当に地元の野菜は鮮度が違うし、バツグンにおいしい。情報だけではなく、そういう生活実感も小さなコミュニティの中で育まれていくたいせつな要素かもしれませんね。」
ニコルさんのお話にある小さなコミュニティとは、地域のつながりや心ある人たちのネットワークなどにも通じるものがあります。そういう小さなコミュニティの地道な活動こそが、地球規模の大きな原動力になっているのかもしれません。
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