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こだわりシリーズ No.09
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02従来の電池にはない新たな価値を!

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自己放電を抑えるため、試作に明け暮れる日々
順調に進められていたプロジェクトだが、開発期間を短縮しなければならない事態が発生した。当初、『eneloop』の発売は2006年3月末の予定であったが、2005年7月に出された三洋電機の新ビジョン「Think GAIA」の第一弾商品として名乗りを上げ、2005年11月に発売されることが決まったのだ。そして、モバイルエナジーカンパニー単独で進めていたプロジェクトは、全社プロジェクトになった。

田所:発売日の前倒しは、約4ヵ月もの期間短縮を課せられる。技術者にとっては厳しいものでした。『自己放電』を抑える新規技術の効果を確認するための実験には、充電池を放置しておく時間がどうしても必要だったのです。

電池を放置する時間は必要、となれば、実験と確認のスピードを上げるしかない。田所を含め技術者は、夜遅くまで実験に明け暮れた。その苦労は並大抵ではなかったはずだ。

田所:『自己放電』を抑えるために、当社独自の『超格子合金』をはじめとした電池材料技術や、これまで業界をリードしてきた高容量化技術を結集しました。現場では、実験、確認のくり返しでしたね。

そんな中、『長期間放っておいた充電池は放電時の電圧が下がる』という課題が試験段階で新たに発覚した。

機器の電池残量は、電池の容量ではなく、電圧低下の度合いで判断されることが多い。このため、例えば、デジカメなどのデジタル機器を使う場合、本当は電池の容量が充分残っているのに、放電時(電池使用時)の電圧が下がることで電池の残量がなくなったと機器が判断して動かなくなったり、残量なしの表示が出たりすることがある。これではお客様の使い勝手が悪い。充電池の電圧低下について改良するべく、さらに三洋独自の技術が駆使された。

田所:そこで、初期電圧を従来から高めることで放電時の電圧を確保しました。開発途中で発覚した技術課題ですが、これまで蓄積してきた技術でなんとか解決することができました。

発売日の前倒しは、かえってプロジェクトメンバーの士気を高めた。 電池というと、縁の下の力持ち的な商品。機器の中に組み込まれていることが多いので、なかなか日の目があたらない。しかしながら、電池がなければモバイル機器は駆動せず、電池は今の社会になくてはならない『心臓部』となる部品だ。そんな商品を作り続けてきたメンバーは、「『Think GAIA』第一弾商品として、なんとしても発売日に間に合わせる」と結束を固めた。
 
これまでの電池のイメージを打ち破るデザイン
さらに、乾電池を使うお客様にも「従来にない新コンセプトの電池」として認知されるよう、電池のデザインからネーミング、宣伝コピーにいたるまで、各部門の協議のもと決定してきたという。 だが、意見の相違もあった。良いものを世に出したいというプロジェクトメンバー、関係部門の想いは、熱かった。新しい三洋には今までにない商品が必要だ。新鮮なアイデアが要求される。デザインを担当した水田は、営業部門を説得し、電池の新しいパッケージを用意した。

水田:これまでの電池のイメージを打ち破りたかったので、まずは他社商品などすべての電池のデザインを頭に叩き込んで、今までにないものを考えました。パッケージは、『Think GAIA』のコンセプトに一致する分別廃棄不要な単一素材とし、素材の循環も意識して、再生PETを採用しました。また開封後も電池保管ケースとして使うことができ、利便性や環境配慮にとことんこだわっています。

『eneloop』のパッケージデザインは、中身がはっきりと見えず、今までの電池商品にはない斬新なものだ。GAIA(地球)をイメージした洗練されたブルーのグラデーションで店頭でも一際目立っている。充電池本体はパールホワイトにブルーの文字がすっきりと美しい。当初、営業部門は「店頭で中身が見えないパッケージなどありえない」と反発したが、店頭で飾られた時には「圧巻された」と水田のこだわりを改めて評価した。

平井:デザインも重要ですが、商品の情報も最小限は必要ですからね。でも、デザインへの反響の大きさには本当にびっくりしました。今まで充電池を手にすることがないと思っていた女性層が、『eneloop』を購入しているのを見たときには、涙が出そうでした。

水田:それぞれの部門のこだわりはとても強かったのですが、なんとしても『eneloop』を成功させたい、という想いは同じでした。皆でとことん議論しあって、これだけのものを作り上げたんだと思っています。

ところで、使い捨てない電池『eneloop』というネーミングはどこから発想されたのだろうか。

水田:今までの電池は、『2500シリーズ』『2700シリーズ』など、容量に合わせた数字名がほとんどでしたが、それでは開発コンセプトが伝わらない。そこで社内外から300件以上も名前を出し合い考えました。『eneloop』は『エネルギー』と『ループ』をミックスさせた造語です。エコを意識した柔らかいネーミングがふさわしいと判断したのです。
 
水田 一久
水田 一久
三洋電機株式会社
ブランド本部
Advanced Design Center
ブランドアセットチーム
チーフデザイナー
 
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